「BYD負債6兆4600万円いつ倒産」について
「BYD負債6兆4600万円いつ倒産」
中国の電気自動車(EV)業界で急成長を遂げ、世界的な注目を集めるBYD。しかし、その裏側では巨額の「隠れ負債」が存在する可能性が指摘されています。香港の調査会社GMT Researchによると、2024年6月末時点でBYDの実質的な負債は約6兆4600億円に達し、公式発表の負債額を大きく上回るとのことです。この問題は、過去に中国恒大集団の財務問題を的確に予測した同調査会社による警告であり、BYDの経営リスクや将来的な破綻の可能性が議論されています。本記事では、この「隠れ負債」の実態やその背景、さらにはBYDが抱える潜在的なリスクについて詳しく解説します。
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目次
1. BYDとは何か?急成長する中国EVメーカーの概要
2. 巨額負債の実態:公式発表とGMT Researchの指摘
3. 「隠れ負債」の仕組み:サプライチェーンファイナンスとは?
4. 財務リスクの分析:過去の事例と比較(恒大集団との共通点)
5. 投資家への影響:株価評価と信頼性への懸念
6. 今後の展望:BYDは破綻するのか、それとも立て直し可能か?
1. BYDとは何か?急成長する中国EVメーカーの概要
BYDは1995年に中国で設立されたバッテリーメーカーから始まり、現在は世界最大の電気自動車メーカーに成長した企業です[1]。2003年に自動車事業に参入し、2008年にはプラグインハイブリッド車の量産を開始しました[1]。2022年には電気自動車の販売台数で世界1位を獲得し、2023年には日本市場にも進出しています[1]。BYDの売上高は2022年に4,240億元(約8兆4,800億円)に達し、前年比96%増という急成長を遂げています[1]。
2. 巨額負債の実態:公式発表とGMT Researchの指摘
香港のショートセル機関GMT Researchは、BYDの実質的な純負債が3,230億元(約6.6兆円)に達していると指摘しています[2]。この金額は、BYDの公式発表よりも大幅に高く、同社の財務状況に対する懸念を引き起こしています。GMT Researchは、BYDがサプライチェーンファイナンスを利用して負債を隠蔽している可能性を指摘し、これが潜在的なリスクとなる可能性があると警告しています[2]。
3. 「隠れ負債」の仕組み:サプライチェーンファイナンスとは?
サプライチェーンファイナンスは、企業が自社の信用を利用して代金支払いを先送りするなどの手法を通じて、サプライチェーン全般にわたる資金調達を行う広範な貿易金融ソリューションです[2]。BYDの場合、2023年時点でサプライヤーへの代金支払いまでの平均期間が257日となっており、一般的な決済周期(45〜60日)と比べて著しく長くなっています[2]。この手法により、BYDは見かけ上の負債を抑えつつ、実質的には多額の負債を抱えている可能性があります。
4. 財務リスクの分析:過去の事例と比較(恒大集団との共通点)
BYDの財務状況は、過去に破綻した中国の不動産大手、恒大集団との類似点が指摘されています。両社とも急成長を遂げる一方で、巨額の隠れ負債を抱えているという共通点があります。GMT Researchは、BYDの財務状況が恒大集団の破綻前の状況と類似していると警告しており、これが投資家の間で懸念を引き起こしています。
5. 投資家への影響:株価評価と信頼性への懸念
GMT Researchの報告は、BYDの株価評価と投資家の信頼性に大きな影響を与える可能性があります。巨額の隠れ負債の存在が事実であれば、BYDの財務状況は実際よりも悪化しており、これは株価の下落や投資家の信頼喪失につながる可能性があります。また、この問題は中国企業全体の財務報告の透明性に対する疑念を深める可能性もあります。
6. 今後の展望:BYDは破綻するのか、それとも立て直し可能か?
BYDの今後の展望は不透明です。一方で、同社は2023年の年間販売台数が300万台を超え、2年連続で新エネルギー車の分野で世界をリードしています[1]。また、海外市場への進出や高級電気自動車の投入など、成長戦略も進めています[1]。しかし、巨額の隠れ負債問題が解決されない限り、長期的な財務の健全性に対する懸念は残り続けるでしょう。BYDが破綻を回避し、持続可能な成長を実現できるかどうかは、今後の財務管理と事業戦略の成否にかかっています。
Citations:
[1] https://www.provej.jp/column/china/byd/
[2] https://mobyinfo.com/makers/byd-hidden-debt-risk-gmt-warning/
[3] https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/rim/pdf/15252.pdf
[4] https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/070500579/
[5] https://www.mk.co.kr/jp/world/11222381
[6] https://www.sbbit.jp/article/fj/70549
[7] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%94%E4%BA%9C%E8%BF%AA
[8] https://courrier.jp/news/archives/390178/
補足
2023年時点でサプライヤーへの代金支払いまでの平均期間が257日とは商取引で違法ではないのか
サプライヤーへの代金支払いまでの平均期間が257日というのは、一般的な商取引の慣行からすると極めて長い期間であり、法的リスクを伴う可能性があります。
日本の下請代金支払遅延等防止法(下請法)では、親事業者は下請事業者に対して、原則として納品から60日以内に代金を支払うことが義務付けられています。257日という支払期間は、この法定期限を大幅に超過しています。
ただし、BYDは中国企業であるため、中国の法律が適用されます。中国でも「中小企業振興法」などで大企業による中小企業への支払遅延を規制していますが、具体的な期限は明確ではありません。
しかし、257日という支払期間は以下の点で問題があると考えられます:
1. サプライヤーの資金繰りを圧迫し、健全な取引関係を損なう可能性がある。
2. 優越的地位の濫用と見なされる可能性がある。
3. 国際的な取引慣行から逸脱しており、取引先や投資家からの信頼を損なう可能性がある。
4. サプライチェーンファイナンスを利用して負債を隠蔽しているという疑念を招く。
結論として、257日という支払期間は法的に明確に違法とは言えないものの、健全な商取引の観点から見て極めて問題のある慣行であり、様々なリスクを伴う可能性が高いと言えます。
Citations:
[1] https://www.sbbit.jp/article/fj/71953
[2] https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/get-connected/pub/atc/202308/kaikeijyoho-202308-09.html
[3] https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2021/02/newnormal-legal-supplychain.html
[4] https://surecomp.com/jp/blog/%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%A4%87%E9%9B%91%E3%81%95%E3%82%92%E7%90%86%E8%A7%A3/
[5] https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20230629.html
[6] https://www.allbrightlaw.com/Taiyuan/JP/11040.aspx
[7] https://thefinance.jp/strategy/210816
[8] http://www.debund.com/article?id=1693
あとがき
BYDのBEVを購入するリスクはどんなものか
BYDのBEV(バッテリー電気自動車)を購入する際のリスクには以下のようなものがあります:
1. 財務的不透明性: GMTの調査によると、BYDは約6兆4600億円の「隠れ負債」を抱えている可能性があり、これは公式発表の負債額を大きく上回っています[3]。この財務状況の不透明さは、長期的な企業の安定性に疑問を投げかけます。
2. ブランドイメージの課題: 日本市場では中国製品に対する偏見が存在し、高額な買い物である自動車の選択に影響を与える可能性があります[1]。
3. アフターサービスの不十分さ: BYDは日本市場への参入が比較的新しく、2024年3月時点で国内販売拠点は51店舗にとどまっています。サービス拠点の不足は、修理や点検時に不便を感じる可能性があります[1]。
4. リセールバリューの不確実性: 新興ブランドであるBYDの中古車市場での価値は不透明であり、将来の売却時に予想外の減価償却を経験する可能性があります[1]。
5. 安全性への懸念: 2023年に中国でBYDの車両が発火事故を起こしたという報道があり、安全性に対する不安が残っています[1]。
6. 急速な値下げによる品質への疑念: 中国メーカーによるBEVの大幅な値下げは、製品の品質や耐久性に対する懸念を引き起こしています[4]。
これらのリスクを考慮すると、BYDのBEVを購入する際は慎重な判断が必要です。ただし、BYDは世界第2位のEVメーカーとしての地位を確立しており、コストパフォーマンスの高さや環境性能の良さなど、メリットも多く存在します[1]。購入を検討する際は、これらのリスクとメリットを十分に比較検討することが重要です。
Citations:
[1] https://newcar.shop/column/12805/
[2] https://eulerpool.com/ja/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3/BYD-%E6%A0%AA%E5%BC%8F-CNE100001526/%E8%B2%A0%E5%82%B5
[3] https://courrier.jp/news/archives/390178/
[4] https://news.yahoo.co.jp/articles/1693fad48ec01b0cded884afde849c1f19005c09
[5] https://mobyinfo.com/makers/byd-hidden-debt-risk-gmt-warning/
[6] https://www.provej.jp/column/china/byd/
[7] https://www.leon.jp/cars/251417
[8] https://www.moomoo.com/ja/stock/01211-HK/financial/balance-sheet